特許権について
特許とは、国が発明者に対して「その発明について特許権を付与します」という行政行為のことをいいます。特許権を付与された権利者は、一定期間その発明を独占排他的に実施することができます。
特許になるような発明は、高度である必要があります。「まだ公知になっていないような新しい発明」であること、「当業者が容易に発明することができないような発明」であること、など特許を受けるためには様々な要件があります。
特許権を取得するためにかかる費用
特許権を取得する場合には、出願と同時に「出願料」、審査請求時に「審査請求費用」、
特許査定後には「特許料」を納付する必要があります。
「出願料」は、15,000円です。
「審査請求費用」は、118,000円+(請求項の数×4,000円)です。
「1〜3年分の特許料」は、毎年 2,300円に1請求項につき200円を加えた額です。
「4〜6年分の特許料」は、毎年 7,100円に1請求項につき500円を加えた額です。
「7〜9年分の特許料」は、毎年 21,400円に1請求項につき1,700円を加えた額です。
「10〜25年分の特許料」は、毎年 61,600円に1請求項につき4,800円を加えた額です。
特許権の効力と存続期間
特許権者は、業として特許発明を独占的に実施することができます。
また、第三者が特許発明を実施している場合には、権利行使をすることができます。
権利行使とは、具体的には、差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、信用回復の処置があります。
損害の額の推定については、特許法102条に規定しています。
第百二条
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
特許権の存続期間は、出願日から20年間です。
ただし、効力が発生するのは、設定登録されてからなので、
実質的な有効期間は、「設定登録日」から「出願日から20年目」までとなります。
特許権の場合、薬事法などの規定により、特許発明を実施できない期間があった場合は、
特許権の存続期間の延長をすることができます。延長できる期間は、最大で5年間です。