実用新案権について

実用新案とは、いわば「簡単な発明(小発明)」のことをいいます。

特許権を取得できる程の大発明ではないが、ちょっとした発明について、なんらかの権利化を望む場合には実用新案権を取得することができます。また、特許権は出願してから権利化まで相当の期間を要しますが、実用新案は権利取得までの期間が短いです。ですので、早期な権利化を望む場合には、実用新案権を取得することができます。

実用新案法での保護対象は、物品の形状、構造又は組合せに係る「考案」です。
「考案」は、物品に係るものである必要があります。出願の際には、必ず図面が必要となります。

審査についてですが、特許法でのような審査請求をする必要がありません。
実用新案の場合には、実体的な審査が行われることなく、無審査で登録になります。
権利期間は出願日から10年間です。延長や更新などの制度はありません。

実用新案権を取得するためにかかる費用

実用新案権を取得する場合には、
出願と同時に「出願料」と「1〜3年分の実用新案登録料」を納付する必要があります。

「出願料」は、14,000円です。

「1〜3年分の実用新案登録料」は、毎年 2,100円に1請求項につき100円を加えた額です。
「4〜6年分の実用新案登録料」は、毎年 6,100円に1請求項につき300円を加えた額です。
「7〜10年分の実用新案登録料」は、毎年 18,100円に1請求項につき900円を加えた額です。

実用新案権の権利行使

実用新案権を行使するためには、留意点があります。

先ず、実用新案技術評価を請求して、相手方に評価書を提示して警告した後でなければ権利行使することができません。また、否定的な評価書に基づいて権利行使をした場合、後に無効審判で権利が無効にされたら、相手方が被った損害を賠償しなければならない可能性もあります。ですので実用新案権に基づいて権利行使する際には、自己の権利が有効なものかどうか、弁理士に鑑定を依頼したり、自己調査をするなどして慎重に行いましょう。

次に、実用新案権の権利行使の際には、相手方の故意又は過失を権利者が立証する必要があります。特許法のように、故意又は過失の推定規定がありませんので、ご注意ください。実用新案権は無審査で登録になるので、第三者に出願されて登録されたすべての権利について有効性調査の義務を負わせるのは妥当ではないからです。