意匠権について

商標権と同じく、意匠権も、特許庁に意匠登録出願をすることによって権利を取得します。
意匠とは、物品のデザインのことをいいます。
登録できる意匠は、新しいデザインでなければなりません。
すでに公開されているデザインや、容易に創作できるようなデザインは登録できません。

意匠登録出願をする際には、出願人の氏名又は名称の他に、
意匠を創作した者の氏名を記載する必要があります。
この点、商標登録出願の場合には、出願人の氏名又は名称のみで、
商標を創作した者の氏名を記載する必要はありません。
意匠は創作物であるのに対して、商標は選択物であると考えられるからです。

また、意匠登録出願の願書には、意匠に係る物品を記載しなければなりません。
意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、
視覚を通じて美感を起こさせるものであり(意匠法2条1項)、
物品と離れた模様のみの意匠や色彩のみの意匠は存在しないからです。

意匠権の存続期間は、設定登録の日から20年間です。更新することはできません。

意匠登録の費用

意匠登録をするには、出願時に16,000円かかります。

登録が認められた場合の登録料は、
第1年から第3年までは、毎年8,500円かかります。
第4年から第20年までは、毎年16,900円かかります。

特殊な意匠登録

意匠法には、秘密意匠というものがあります。
登録から一定期間、意匠を秘密にすることができるもののことです。
商品化がまだ先の場合であっても、登録して権利を取得しておく必要がある反面、
公報により公開されてしまえば、たちまち模倣の対象になってしまいます。
そのような時に、秘密意匠の制度を利用すると、
登録から最大で3年間意匠を秘密にすることができます。

意匠法には、動的意匠というものがあります。
動く意匠のことです。例えば、熊の玩具で、
二足歩行の立った状態から、四足歩行の状態に変化する玩具がある場合、
その二足歩行のデザインと、四足歩行のデザインの両方を意匠登録するのは、
費用と手間がかかってしまいます。そこで動的意匠の制度を利用すると、
一つの願書で、二足歩行と四足歩行のデザインを保護することができます。
願書には、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載する必要があります。